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WETな備忘録

できなかったときの自分を忘れないように

もう寿司なんて食わない

 神楽坂すしアカデミーというお店がある。ここでは予約を取れば3500円で回らない握るお寿司が食べ放題である。その帰り道の話。

 僕は歩くのが好きだから、神楽坂から自宅のある乃木坂まで、寒の戻りな夜風に撫でられつつ帰った。京都の夜道とは違う、だけど東京の夜はそれで良いもので、所々に局在する高層ビルの光が、ロマンチックでおセンチメンタルな気持ちにはよく似合う。

 そんな気持ちを楽しみながら、歩調を緩め、立ち止まり、そして僕は強く後悔した。

「しまった。食べ過ぎた」

 そして吐いた。

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 お寿司は高級品で、今までたくさん食べるなんてことは滅多に無かった。たくさん食べるものではないからこそ、お寿司をお箸で挟んだときのあの高揚や、醤油を付けたときの興奮、何より口に入れたときの幸福感があるのかもしれない。

 お寿司も、距離感とペースがだいじなのだ。

 とても美味しいものだし、慣れないもんだからついついたくさん求めてしまったりする。さらに「食べ放題」なんていう席に座ってしまうと、量も種類もたくさん注文するのが義務のような気持ちさえしてくる。

 でもそれは実は違って、たとえ食べ放題だったとしても、距離感とペースを保って、お寿司を「おいしく」食べ「続ける」ことが、本当は大事なのだ。

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 もし世界のどこかに、僕と同じようにお寿司に苦しんだ人がいたら、どうかその人は「もう寿司なんて食べない」とは言わないで欲しい。

 お寿司とは、いつも、良いものなのだ。

 僕はというと、今まで触れる事も無かった「お寿司食べ放題」というものと、美味しく付き合い続ける距離感とペースを、ちょっとずつ学んでいけたらいいな、と思い、そして夜景をバックにひとりまた吐いた。

 

 

 

WETな備忘録として

(なんだこれw)