就職氷河期と言われるその最中に何度も留年をキメて、
エントリーだけを数えるなら60社ほどに応募した。
結果から言うと、2社内定をもらえた。
今思えば、1つ内定をもらってから、僕の就職活動は本当の意味で始まった。
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「じゃあこれで就職活動は終わりということだね!心が決まったら連絡してね。形だけ社長と最終面接をセッティングするから!」
と、その1社の人事に言われたとき、僕はたぶんいわゆる「豆鉄砲くらった」顔をしていたのだと思う。
これで決まるのか、他は吟味できないのか・・・。
「そうか、これで半生が決まるのか・・・」
折り返しの連絡の期限も迫って、えいままよと最終面接に進んだ。
最終面接はあっけなかった。
「はーい。じゃ内定出しますから」と社長が言ったとき、
僕は可能な限り目をキラキラさせるよう努力しつつ、
「はいっ!よろしくお願いします!」と答え、可能な限り固く握手をした。
こうして体育会系金融の内定をもらった。
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高校から運動部に所属し大学もほとんどそれに費やした。
先輩も後輩も、体育会系らしく
メーカーの営業や、金融の営業などに進んでいく。
体力とコミュニケーション能力を駆使し、難しい案件を頼まれ、出世していく先輩も多い。
いかにも体育会系らしい。
僕の周囲も僕自身もそれに適性はあると思っていたし、今でも思っている。
そのような仕事が嫌いというわけでもない。むしろ好きな部類だ。
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「とりあえず行くって言っちゃった」
「まあいいんちゃう」
「うーん、でも就活はまだ続けたかったんだけどね・・・」
「続ければいいやん」
「え、いいの?『御社に決めました!』って元気よく言いましたよ?」
「そんなもんやろ」
「そんなもんなんかな」
「そんなもんやし・・・」
「『やし』?」
相談に乗ってくれた親友は最後にこう付け加えた。
「そこ行ったらお前、たとえば久しぶりに会ったときに、
仕事とか仕事仲間の愚痴ばっかり言ってるおっさんになってそうだ」
その夜、
一念発起して、クリエイティブなことが出来そうな会社3社にエントリーシートを出した。
そういえば幼いころ僕は、絵を描くのが好きだったのだ。
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就活の軸、という言葉がよく使われるが、
僕の場合は
「世の中にインパクトのある仕事がしたい」
という、まあ誰でも言いそうなありがちなものだった。
一社内定をゲットし、改めてこのことについて考えてみた。
インパクトのある仕事とはどんな仕事なのか。
「有名企業で」「スケールの大きな仕事」というイメージがやはりあるので、
皆、有名な企業に就職し、スケールの大きな仕事をしたがる。
しかし、考え方を変えて、
「インパクトのある仕事をしているひと」はどんなひとかと考えたら、
必ずしも「有名企業で」「スケールの大きな仕事」をしている訳ではない。
むしろ逆だ。「無名の企業から」「小さなことに全力」だった。
結論として、やはり「インパクトのある仕事をしているひと」とは
「有名企業でスケールの大きな仕事をした」のではなく、
「超がんばった」のではないだろうか。
人一倍コミットして、こだわりを持ち続けて、自分からやった、のではないだろうか。
その結果として成した仕事が、世の中にインパクトを与えたということではないだろうか。
そう考えると、インパクトのある仕事をしたいからこそ、
「有名か否か」「スケールが大きいか否か」ではなく、
「人一倍コミットしたいと思えるか否か」「こだわりを忘れないか」「自分からやりたくてやるか」
という軸で考えるべきなのだろう、と思い至った。
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もうひとつ、僕が就職活動を止めれなかった理由がある。
この前まで僕はある塾で先生をしていた。
その塾では、勉強は二の次で、まず部活を全力で頑張りなさい、赤点だけは回避しましょう、という
コンセプトの塾(http://bukatsu.mikata.jpn.com/)であり、
全力で頑張る過程で「夢を持つ」ということが隠れた一つの目標である。
僕が見ていた高校生とか中学生と話していると、
夢はあるのだが、「どうせ無理」とか「しんどい」とか言う。
ズバリ、僕もそう思う。どうせ無理だと思う。超しんどいと思う。
ずばり僕も最近まで夢を忘れていたし、それを追うなんて無謀だと思っていた。
だけど、じゃあ
夢を追ったら「無理」だし「しんどい」として、
じゃあ、
夢を諦めたら「可能」だし「楽ちん」なのだろうか?
中高生もそうだし、就活生もそうだが、漫然と
「夢を追ってギャンブリーでしんどい道か」
「夢を諦めて安定したそこそこの道か」
という二項対立が見受けられる。
しかし(詳しいことは不勉強だが)
中国の台頭、ギリシャの破綻、アメリカの金融不安、進む円高(あってる?)
など、
果たして今の日本に、「夢を諦めて安定したそこそこの道」などあるのだろうか?
僕たちが本当に直面している二項対立は、
「夢を追ってギャンブリーでしんどい道か」
「夢を諦めて明日も知らない苦しい道か」
なのかもしれない。
むしろ後者の方が、圧倒的にソウルジェムが濁り魔女化する確率が高いと予想する。
結局どちらの道もしんどく苦しいのであれば、やりたいことをトコトンやるしかない。
それしか救われる道はない。
いや違う。
どちらも救われなどしないのだから、ソウルジェムは濁さない方がいい。
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新たにエントリーした3社のうち、第一志望を含む2社はほとんど門前払いだった。
無理もない。実力も経歴も畑違いだ。
そんな中、残った1社から辛うじて内定を頂くことができた。
ただ、畑違いもいいところで、まともに生きてたら仕事に埋没し即魔女化するのが目に見えている。
そんなこんなで、僕は今日も必死になって慣れないPCをカチャカチャしている。
適性など一抹も無い。
最後に、僕の人生を変えた黒猫の台詞を紹介します。
在るべき姿なんか、知ったことかと開き直ってしまうのよ。
独りよがりの自己満足?オナニー作品?知ったことじゃないわね。
私は私がやりたいモノを、やりたいようにやらせてもらうわ!
オナニー作品がつまらないというのなら、超凄いオナニーを見せつけてやるだけのことよ!
僕の就職活動のまとめだった。