最近、いろいろな場面でこの話をすることが多いので、
一度まとめてみる。
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「教えたがり」という人種がいる。何を隠そう、僕もそうなのだが。
アメフトのコーチをしているときは、よくそれで監督から怒られた、
「教えるな」と。
「教えないほうがいい」
これの理由を考えてみた。
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アドバイスをできる立場にいるAさんと、
今、(仕事とか部活とかで)乗り越えるべき壁に直面しているBさんがいるとしよう。
Aさんが取りうる行動を、話を簡単にするために「アドバイスをしない」 か 「アドバイスをする」 の二つだとする。
また、Bさんの取り組みの結果として「成功する」 か 「失敗する」 の二つだとする。
そうすると、2×2の合計4マスの表が作れる。ここに第三の評価軸として、「Bさんの成長可能性」を入れていく。
この場合、
Bさんが短期・中期・長期的にみて最も成長しそうなケースは「Aさんがアドバイスをしないまま、Bさんは自力で成功した」ではないかと、僕は思っている。とりあえずここではそのように話を進める。
一方、Bさんが最も成長しなさそうなケースは「Aさんがアドバイスをしたにも関わらず、Bさんは失敗した」ではないかと、僕は思っている。
これをまとめると、下の図のようになった。
ここで問題は、
「Aさんがアドバイスをして、Bさんは成功した」ケースと
「Aさんがアドバイスをせず、Bさんは失敗した」ケースの比較
果たしてどちらがBさんのためになるのか? ということだ。
ここはひとつ提案なのだが、『「Aさんがアドバイスをせず、Bさんは失敗した」ケースの方が、よりBさんのためになる』としてみよう。
そのように仮定すると、短期的なプロジェクトの成功を目標とせず、Bさんという人材の成長を目指したときに、Aさんがどうするべきかが浮かび上がってくる。
これをまとめたのが、下の図だ。
結局、Bさんの成長のことだけを考えるのであれば、Aさんはいかなるアドバイスもしない方がよい、ということになる。
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では、アメフトのコーチをしていた僕は不要だったのだろうか?
そうではなく、上の表にはいくつかの前提条件が必要であり、そのうちの最も大きな条件のひとつが、
「Bさんが今考えている方法論を、明白に結果が出るまで遂行する」
ということである。
これをしなかった場合、たとえBさんが成功しようが失敗しようが、Bさんには何の教訓も残らず、言語化されず汎用性・反復性の無いただの体験記憶が蓄積するだけだ。
だから、コーチが本当にするべきことは、(もちろん最悪の事態や事故を回避するだけの指導は施した上で)
「正しい方法論を説いてやる」ことではなく、
「間違っていても彼の方法論をただ許容してやり、完遂を促す」ことなのではないだろうか。
そして可能なら、結果が出たあとのBさんとしっかりコミュニケーションを取り、あくまで彼自身が彼自信の体験を言語化し、教訓として昇華させるという作業を一緒にしてやることなのではないかと、今では考えている。
というような、コーチング理屈を見つけた。
だけど僕はもうアメフトのコーチはしない。
だから最近はこの理屈を、実は逆から見ることが多い。
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僕は「成長」という言葉が嫌いなのだが、ここでは「良い教訓が溜まる」程度の意味だと理解して、やむなく使う。
短期的な成功を度外視して、自分の成長を目標とするならば、従いたくない助言には全く従わないほうがよい。
この図からは、そういうことになる。
もちろん先ほどの話も含めて、色々な前提条件はある。たとえば・・・
- 最悪な事態・事故は引き起こさないこと
- 必ず結果を見るまでやりきること
- 成功したとしても失敗したとしても、何故(何をしたから)そのような結果になったのかを必ず言語化した教訓として蓄積すること
とくに3つめではないかと僕は思う。
少なくとも僕は以上の3つを心に留めつつ頑張っていきたいと思っているだけで、もちろん個人個人の取り組みの趣味嗜好があるので、一概に皆が「人の助言は聞かないほうがいい」わけではないと思う。
僕に取って「最悪の事態・事故」は「自分が死んだり、人が死ぬこと」なので、そうそう気にする場面には遭遇しない。
目下の課題は、結果を見るまでやり遂げること、あと結果を言語化すること、です。
成功するか失敗するか、そこに最大の興味がある人にはお勧めできないが、
僕は、コケることそのものが、人生の楽しさだとすら考えていますゆえ。
おわり
WET